中小企業のクラウド利用とIT投資の実態

中小企業庁が2017年3月に出したレポートによると中小企業では、6割弱の会社がITを使っているが、そのうち3分の2が給与、経理業務の内部管理業務向けに導入。収益に直結する、調達、販売、受発注管理などでは、ITを使っている企業のうちでも3分の1程度に留まっているとされています。

昨今、AmazonのAWSを始めとするクラウド利用に関するニュースも多く目にしますし、マイクロソフトもクラウドをコアビジネスとしていく方針を最近打ち出しました。しかしながら中小企業のクラウド利用においてはまだ多くの課題があるようです。

クラウドサービスの利用率が上がっていかないのは、活用メリットが中小企業目線だとわかりにくいという点があるのだと思います。クラウドサービス自体は数多くあり、選定が難しい現状があるからです。

収益に直結する調達・販売・受発注管理をクラウドを活用することでテコ入れすることが成功すれば中小企業にとっては大きな成長促進につながる可能性が高いと言えます。

クラウドサービスは自社運用・自社開発という選択肢もありますし、既存のクラウドサービスを活用するという観点もあります。既存のものを利用できればコストメリットが大きいですが、汎用的なサービスですと自社の運用にマッチしないケースも多くあります。

今後はクラウド活用のコストはさらに下がっていくと予想されます。クラウドを活用することでサーバ運用コストなどをローコストで抑え、収益に直結する調達・販売・受発注管理などのオペレーション部分をオリジナルでシステム化をすることで、収益向上とトータルコストを抑える可能性が高いと言えます。一方でそう言ったサービスを提供する会社、目利きできるサービス提供会社は多くは存在しないため、需要と供給のミスマッチが起きているのも現実です。

IT投資を行わない理由として4割を超えるもので「ITを導入できる人材がいない」がありますが、自社にいなくともパートナーシップを組む、もしくはアウトソーシングすることでその部分は補うことができます。しかし大切なポイントは自社業務の収益に直結するポイントや、その構造を深く理解している人がそのIT投資をハンドルすることです。前述の需要と供給のミスマッチからサービス提供会社の提案を鵜呑みにするのは危険だからです。

 

 

 

 

 

 

 

 

以上の図は中小企業の労働生産性が低いことが示されていしまっています。しかしクラウドをうまく活用しながら収益に直結する部分をIT化促進することで労働生産性はかなり高くなるのではないかと思います。

中国のITスマホ事情

弊社の得意先の関係で中国出張の機会がありましたので、今回は中国のITスマホ事情についてご紹介いたします。

まず前提となるのがスマホユーザーの数の多さです。インターネットへの接続ユーザーは7億人を超えているのですが、そのうち90%以上がモバイル端末からのインターネットへの接続となっています。上図がインターネットの利用数の推移、下図がモバイルインターネットの利用者数の推移となります。

そのため中国ではスマホを用いたサービスの普及率が驚くほど高いです。どんな小さな飲食店でもスマホによる決済が通常ですし、決済だけにとどまらず宅配出前サービス、タクシー、シェアリング自転車など、スマホを用いたサービスが浸透しています。

決済は「QRコード+スマホアプリ」として「Alipay(支付宝、アリペイ)」「WeChat Pay(微信支付、ウィーチャットペイ)」が二大勢力となっています。QRコード決済の特徴は、個人間送金における相手のアカウントのQRコードを読み取って指定の金額を送金するという仕組みです。つまりアカウントさえあればどんな店舗でも特別な審査なしに利用できます。かつ手数料はほぼ無料に近く、利用のハードルが非常に低いようです。利用者と店舗側の利用を一気に加速させたようです。

決済サービスを提供するアリババ(Ant Financial)とテンセント(Tencent)はインターネット企業であり、手数料収入よりもユーザーの行動データやマーケティングデータ収集に主眼を置いています。付随するサービスは全て関連しているので、行動データやマーケティングデータの量は莫大です。ここにAIの概念が加わることでおそるべきデータ活用が展開されそうな予感です。個人送金もでき、かつ手数料も無料なので給与振込などにも一部活用されていますが、銀行ビジネスを侵食してきたため、政府からの規制も入っているようです。続いてこの仕組みを活用したサービスについて紹介していきたいと思います。

シェアリング自転車

3000万台以上も投入されているようで街のいたるところで見かけます。スマホで最寄りの自転車(GPS搭載)を検索してQRコードで解錠(鍵にSIMカード内蔵)して使用し、乗り捨てが可能です。値段も30分0.5元(約8円)程度で決済は前述のスマホ決済を利用されます。GPS機能で乗れる自転車はすぐに見つかりますし、驚くべきなのはこのサービスを維持していくために穴あきタイヤというパンクのリスクやメンテナンスコストを抑えるための投資が行なわれている点です。各自転車にはSIM・GPSも搭載されているのでソーラーパネルも設備もあります。スマホアプリではどれだけの距離で何カロリー消費したなどのヘルスデータも蓄積される充実ぶりです。

宅配出前サービス

代表的なのは「餓了么」「美団外売」「百度外卖」の3社で、オフィスワーカーはほぼこのサービスを利用してランチを注文します。スマホでは個人送金も可能なので、誰かが代表して頼むこともあれば、配送料も安いので個別に頼むこともあるようです。このサービスで特徴的なのは運営会社が、ベースとなるオーダー用のシステムを構築し、売り手となる飲食店を募集、配達バイク運転手も調達、配達ネットワークを自ら構築している点です。飲食店にとってはお店のキャパ以上の売上拡大の機会提供と、配達員にはシステムで割り出された最適ルートや配置による処理件数の拡大、消費者に対しては選択肢の充実など様々な利点があります。仕組み上リスクもあるサービスかと思いますが、民間資本で運営されているということから政府は静観している状況のようです。

配車サービス

中国版Uberとして「Didi Chuxing 滴滴出行」が有名です。「WeChat Pay(微信支付、ウィーチャットペイ)」と連携したことでユーザビリティが高く、どこにいてもすぐにタクシーが手配できます。数年前まではUberも中国市場に参入していましたが、実質ライバルにあたる「Didi Chuxing 滴滴出行」に10億ドルで買収され、評価額は3兆円を上回っているようです。

以上、中国のスマホIT事情について簡単にまとめさせていただきましたが、一気に加速した背景にはリアル店舗のサービスレベルや参入障壁、巨額資本による初期投資におけるプラットフォームを築ける体力、新幹線に乗るのにもID提出が求められる実名制が必須のお国柄、人口状況などの特有の要因が重なったことがあげられます。システム業界ではよくシステムに仕事を合わせるか、仕事にシステムを合わせるかという議論がなされますが、中国ではまさに前者が充実しているために企業も個人も、用意されたプラットフォーム上でサービスを享受している状況です。ゆえにスマホサービスのユーザビリティは他国と比較してもかなり高いです。今後はこのプラットフォームをめぐってマネタイズや大きな買収などの動きがあると思います。