IT投資によって従業員数は増加するのか・減少するのか

昨今働きかた革命によって業務効率化や時間短縮におけるIT導入の話が多いと思いますが、今回はIT投資によって従業員数は増加するのか、減少するのか、中小企業白書に記載されている統計データを見ながら考察を深めたいと思います。
弊社お得意様の実態としてはIT投資によって業務効率化や付加価値向上を推進されて、結果従業員数が増加されているケースが多い現状がございます。感覚値的にはスポーツに例えると売上拡大・販路拡大などの「攻めの投資」と、業務効率化や自動化などの「守りの投資」と大別できます。

 

 

 

 

 

 

 

 
上記の図はIT投資を行ったことによる従業者数の変化をIT投資の内容別に見たものです。

減少したと回答した企業の割合

  • 「業務効率化のための基幹系システム」13.3%
  • 「作業の自動化やアシストをするハード・ソフト」10.1%
  • 「付加価値向上のための業務支援系システム」8.0%

まず上記の項目を目的としたIT投資の場合、従業者数が減少したと回答しているケースが多いと言えます。これは、これらの投資が主に合理化・省力化を目的としたIT投資であるため、IT投資により業務フローを見直すことができ、 結果的にこれらのIT投資を行うことで従業者数が減少した企業がいるものと考えられます。しかしながら約8~9割の企業が従業者数に変化はないと回答しています。

増加したと回答した企業の割合

  • 「電子商取引(BtoC 向け)の利用」14.8%
  • 「自社ホームページの開発・活用」13.4%
  • 「作業の自動化やアシストをするハード・ソフト」10.7%
  • 「付加価値向上のための業務支援系システム」9.9%

ほとんどの項目で従業員数が増加したと回答する企業が従業員数が減少したという企業数より多いが、上記の項目はほかのIT投資に比べてより顕著になっています。

 

一般的に中小企業様の業務フローは複雑で細かいものが多いと言われているため、パッケージシステムや既存ソフトだとミスマッチが発生するケースが多いです。予算の制約条件も多いなか、パッケージや既存システムで網羅できる部分は任せつつ、繰り返し業務の多い業務や事業成績に直結するKPI把握や業務管理などの要素にはIT投資が効果的です。

中小企業白書のなかでは以下の考察が述べられていますが、「攻め」と「守り」のIT投資を効果的に組み合わせて実践されていくことが、中小企業様の競争力を高める要因につながるのではないかと考えます。

 IT で従業者数が減 少したことについて見てきたが、付加価値向上のための IT と業務効率化のための IT の両方を導入 している企業は、バックオフィス業務での IT 導 入により省力化を行い、そこで余剰となった人材 を、今度は付加価値向上のための IT を導入した 販売・営業といった業務分野に配置換えをするこ とで、社内全体としては従業者数を変化させるこ となく、業績を向上させていることも推察される。

中小企業のクラウド利用とIT投資の実態

中小企業庁が2017年3月に出したレポートによると中小企業では、6割弱の会社がITを使っているが、そのうち3分の2が給与、経理業務の内部管理業務向けに導入。収益に直結する、調達、販売、受発注管理などでは、ITを使っている企業のうちでも3分の1程度に留まっているとされています。

昨今、AmazonのAWSを始めとするクラウド利用に関するニュースも多く目にしますし、マイクロソフトもクラウドをコアビジネスとしていく方針を最近打ち出しました。しかしながら中小企業のクラウド利用においてはまだ多くの課題があるようです。

クラウドサービスの利用率が上がっていかないのは、活用メリットが中小企業目線だとわかりにくいという点があるのだと思います。クラウドサービス自体は数多くあり、選定が難しい現状があるからです。

収益に直結する調達・販売・受発注管理をクラウドを活用することでテコ入れすることが成功すれば中小企業にとっては大きな成長促進につながる可能性が高いと言えます。

クラウドサービスは自社運用・自社開発という選択肢もありますし、既存のクラウドサービスを活用するという観点もあります。既存のものを利用できればコストメリットが大きいですが、汎用的なサービスですと自社の運用にマッチしないケースも多くあります。

今後はクラウド活用のコストはさらに下がっていくと予想されます。クラウドを活用することでサーバ運用コストなどをローコストで抑え、収益に直結する調達・販売・受発注管理などのオペレーション部分をオリジナルでシステム化をすることで、収益向上とトータルコストを抑える可能性が高いと言えます。一方でそう言ったサービスを提供する会社、目利きできるサービス提供会社は多くは存在しないため、需要と供給のミスマッチが起きているのも現実です。

IT投資を行わない理由として4割を超えるもので「ITを導入できる人材がいない」がありますが、自社にいなくともパートナーシップを組む、もしくはアウトソーシングすることでその部分は補うことができます。しかし大切なポイントは自社業務の収益に直結するポイントや、その構造を深く理解している人がそのIT投資をハンドルすることです。前述の需要と供給のミスマッチからサービス提供会社の提案を鵜呑みにするのは危険だからです。

 

 

 

 

 

 

 

 

以上の図は中小企業の労働生産性が低いことが示されていしまっています。しかしクラウドをうまく活用しながら収益に直結する部分をIT化促進することで労働生産性はかなり高くなるのではないかと思います。

IT投資によって効果を得られている企業と得られていない企業の取り組みの違い

 

 

 

 

 

 

 

上記は中小企業庁のサーベイからの引用になります。

今回は上記サーベイをとしてIT導入効果に大きな影響を与える具体的な取り組みについてご紹介します。

第2-2-13図では高収益企業と低収益企業で、以下の2つのIT 投資を行ったことにより得られる効果の違いについて記述されています。

  • 業務効率化のための基幹系システム
  • 付加価値向上のための業務支援系システム

ここでは高収益企業では「業務プロセスの合理化・意思決定の迅速化」の割合が最も高く、「売上の拡大」、「利益率・生産性の向上」、「営業力・販売力の強化」の効果が高いとされています。

弊社のお得意様も基幹系システムや業務支援系システムの導入の際には前述の導入目的を示される会社様が多いため、感覚値と類似しています。
続いて下の第2-2-14図で興味深いのはIT投資によって効果を得られている企業と得られていない企業では取り組みに大きな違いがあることが記述されています。なかでも大きなギャップがあるのは以下のとおりです。

  • 「IT導入に併せた 業務プロセス・社内ルールの見直し」
  • 「IT導入に対しての各事業部門、従業員からの声の収集」
  • 「IT導入に向けての計画策定」
  • 「IT・業務改善等についての社員教育・研修の実施」
  • 「ITの段階的な導入・導入後のモニタリング」

IT導入を進める過程で大切なポイントはシステムでカバーすべき点と運用や業務プロセスでカバーする点を明確にする点です。明確にするためには利用頻度や重要度など様々な指標をもとに判断することになりますがこの観点が非常に大切です。イレギュレラー対応や発生頻度の低い部分を高度で複雑なシステム化を進めるよりも、運用でカバーした方が早いケースも多くあります。

全てをシステムに任せるのではなく、IT導入をする際に業務プロセスや社内ルールの見直しをかけながら、段階的・計画的に進めていくことが重要です。

「業務プロセス合理化・意思決定の迅速化」と「IT導入に併せた業務プロセス・社内ルールの見直し」はセットで進めていくことでIT投資の効果が高くなります。このロジックは弊社のプランニング時の思想にも通じるところがありましたのでご紹介させていただきました。